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●どういう訳だか西洋人の考える女性フンドシは「縦ミツ横ミツ分離方式」というものの方が一般的なようです。つまり判り易く言えば、腰紐と股布が別々の組成からなっているのです。日本の場合、もっこ褌などを例外として、通常の六尺褌などは長い布1枚から成っていて、腰の周りにぐるぐると巻きつけるやり方です。何故日本と外国でこのような違いが生じるのでしょうか？
●これは西洋式がそもそも普通であって、むしろ日本の六尺褌の方が変則的であるというべきでしょう。二本の足の真ん中、付け根部分（＝性器）を縦に布で覆うためには、その股布を固定するために足と垂直に交わる方向、つまり腰骨に平行な紐をわたして、そこに股布を引っ掛ければよいという発想です。縦方向と横方向に布が交差するのですから、これを六尺褌の如く一本の布を使ってグルグルと巻き締める方がむしろ不自然というべきで、単純に考えると、普通はこの「縦ミツ横ミツ分離方式」になります。
●西洋にはもちろん「フンドシ」という言葉はありませんが、日本人の持つ「女性ふんどし」の感覚に近い意味で、見世物的なきわどい女性下着・水着のひとつとして「西洋版女性フンドシ」があります。ここで言う西洋的な「きわどさ」とは、単に布の面積が小さいということではなく、女性性器に沿って、縦方向に細長い、というきわどさにほかなりません。さらに女性性器を覆う布はがっちりと固定され密着しているようなものではなく、ハラリと解き外れるようなきわどさ、危うさも兼ね備えたものでなければなりません。西洋人の考えたこの二つのきわどさ、即ち①縦方向に細く、②外れやすい、というものが西洋版女フンドシの根底にあります。そして①によって日本のふんどしのような形状に近くなり、②によって腰紐とは分離した組成となりました。（⇒実際に股布が腰紐にがっちりと結び付けてあって、解けやすくなくても、組成が分離しているということで、十分危うさが生じるのです）
●上述の①②を更に極端にしたものも存在します。極小サイズのビキニなどがそれで、なるほど確かに①女性性器に沿って、わずかにそれを覆い隠す。②極小であるため、簡単に外れそうな危うさがある。・・・ではありますが、ここまで極小サイズですともはやフンドシとしての形状をとどめておらず、却ってエロチシズムが失われてしまうようです。少なくとも日本のふんどし文化に裏付けられた我々の美意識（？）からは遠くかけ離れたものとなってしまいます。
●では何故日本では六尺褌のような一本の布による「縦ミツ横ミツ一体式」が普及したのでしょうか。これは実は簡単な話であって、ズバリ！日本ではふんどしが実用の下着として使用されていたことによります。
●実際に西洋式のフンドシを締めてみると案外実用的でないことに気がつきます。まず西洋式の場合、着脱が面倒です。また局部を固定安定させるためには、股布を腰紐にきっちりと結びつける必要がありますが、西洋式のように分離しているとどうしても緩んできます。更に洗濯などの際にも、股布と腰紐が分離しているために取り扱いが面倒です。西洋では日本のように、ふんどしが実用の下着として普及しなかったために、実用性は度外視して、女性の性器を覆うエロチックな「下着もどき」として考案されたに過ぎず、下着として社会的に認知されるには至りませんでした。
●HP「褌」を運営されている越中（こしなか）氏は六尺褌は南方から、越中褌は大陸から伝来したという説を有力視しています。なるほど確かに六尺ふんどしの形状、南方民族における着用例などに鑑みると、南方伝来説はそれなりに説得力があります。いずれにしても、そうなると日本の伝統的な褌も、実は古え（いにしえ）の輸入品であったということになります。時代は下り、文明が進んだ江戸の時代においても、なお下着は昔ながらの褌であったというところに日本の特殊性が感じられます。
●日本のもっこ褌は股布を腰紐で吊り上げている形状で、その意味ではずっと西洋式に近いといえます。しかしこの日本のもっこ褌は、あくまでも布の節約のためと、越中褌の欠点ともいえる「ユルフン」防止のために考案された訳で、西洋式とは歴史的背景が異なります。
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